ある日のことです。
荒川の河川敷を歩きたくて、車を走らせました。
しかし、駐車した場所が悪く、歩き出したものの、なかなか河川敷へたどり着きません。
そのはずです。
河川敷に隣接してある、広大なゴルフ場が、駐車場と河川敷を遮断しているのです。
どこかに切れ目はないものか、歩けど歩けど、延々と高い頑丈なフェンスで鎖されていて、
河川敷へ通じる抜け道はありませんでした。
だんだん腹が立ってきました。
一握りのゴルフ族のために、ナンダってこんな所にゴルフ場を作るのか、こんなに迷惑を被らなくてはならないかと
(これって、勝手な言い分かしら)イライラしながらも、でも絶対、ゴルフ場を抜けて河川敷へ行ってやるぞ
って、強い思いがムラムラと湧き上がってきました。
執念とは凄いものです。
一瞬、「ウソ! !」って思いました。
車1台楽に通り抜けられるほどの間隔のフェンスが、人為的にだかどうかは分かりませんが、
不自然に開いていて車の轍も確認できました。
「ヤッター! !」
神は我に味方せりとばかり、そこからゴルフ場へ潜入しました。
どちらかと言うと運動音痴気味の私は、ゴルフに興味を持ったことはないのですが、ゴルフ場は
自宅からも歩いて10分のところにもありますので、綺麗に整備されたグリーンには心惹かれるものがありました。
あのグリーンの上を犬と一度でいいから走ったり歩いたりしたいものだと、いつも憧れてはいました。
さあ、犬こそいませんがチャンス到来です。
一人堂々とゴルフ場を歩き出しました。
写真の景色の中を、それもグリーンの上を歩いたわけです。
反対側の河川敷を目指して。
写真を撮りながら・・・
(普通の常識人はやらないであろうとは思いつつ・・・も、これも冒険だわって)
しばらく歩いていると血相変えたキャディーさんが走ってきました。
「どちららは入られたのですか?」
「どちらから? あちらから」と、入って来た方を指差しました。
だって、オドオドすることはありません。
フェンスを破って入ったわけでもなく、開いていたフェンスには立ち入り禁止の看板もなく
車の轍もあったのですから・・・
いつ何処からゴルフボールが飛んでくるか分かりません。
非常に危険ですのですぐ立ち去るようにとのことでした。
周りを見たらプレイしているゴルファーたちが手を止めて一斉に私に注目しています。
どこか冷たい眼差しで。
走りもせずゆっくりと歩いてきた方へと戻りました。
今頃はあの開いていたフェンスはしっかりと鎖されて、変わったおばさんのことが語り草に
なっているかもしれません。
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